東京深川の木場は、元禄時代から材木市場として栄えた町として有名です。現在はウォーターフロントとして整備・開発されて材木の並ぶ光景は見られないものの、いまも多くの材木問屋があります。そんな材木商の一つ有限会社山政商店は昨年築50年の自宅を取り壊して敷地55戸の本格的な外断熱賃貸マンション『ウェルネス木場公園』の建設を計画しました。竣工は2004年4月、翌月より入居がスタートしました。
オーナーの土屋雅彰さんは山政商店の取締役ですが、本業は神経内科を専門とされる医師です。土屋医師は大学医学部を卒業後、いくつかの病院で病棟医長や院長を歴任され、現在は新しく建設した賃貸マンションの1階で『ウェルネス木場公園クリニック』を開業、ご自身の理想とする地域医療の実践を進められています。
土屋さんは本業が医師ですから、賃貸マンション経営の経験はまったくありません。またマンションに対する健康面での疑問もあり当初計画は進まなかったそうですが、その背中を押したのが「外断熱マンション」でした。そのあたりの経緯を、ご本人にお伺いしました。
「もともと家業が材木屋で敷地が広大でしたから、税金対策が問題になっていたのです。駐車場にしても追いつかない。たまたま実家が木造で50年ほど経過していまして、もし地震や火事になれば近隣に迷惑がかかるとも考えていました。一方で、私自身の考える理想の地域医療のために、クリニックを開業したいという考えもありました。ただし、土地を切り売りするのも気が進みません。自宅を取り壊して何かしなくては、ということで、クリニックを併設した自宅兼賃貸マンションを考え始めたのです」
しかし、医師の立場としてマンション経営には抵抗がありました。
「私もマンション暮らしの経験がありますが、冬は結露がひどかったですね。エアコンで暖房していると空気が乾燥して風邪を引きやすい環境になるので、加湿器で湿度調整をしていました。でも、結露しているのに空気はなぜか乾燥している。湿気が部分的に残りやすくカビやダニが出やすい、それに室内の温度差も大きい。家族もしょっちゅう風邪を引いていました。マンションの環境というのは必ずしも健康的ではないと、ずっと思っていたのです。健康的ではない賃貸マンションの1階でオーナーがクリニックを開設して、待合室には居住者がいつも満員だなんて、冗談になりませんからね(笑)」
医師として個人クリニックを開業したいと考え始めたのは、以前勤めていた病院の経営責任者との意見の食い違いがきっかけでした。医療という行為は同じでも、経営の対象ととらえる経営者と患者さんのウェルネス(健康)を考える土屋医師とでは、最終的な目的がまったく異なっていたのです。結局、家庭医をベースとした自分の理想とする地域医療を実践するには、開業するしかないのだという結論に達しました。
そんな土屋さんにとって、そこに住む人の健康を害すようなマンションを造ることには、強い抵抗があったのです。
転載:『「外断熱」からはじまるマンション選び!』堀内正純著
投稿者 医院開業紹介センター :2008年6月16日
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