前回より2回連続で、
「外断熱工法とは?」という疑問にお答えしています。
前回は、
外断熱工法と従来法である内断熱工法について、
各々の定義、メリット・デメリット等を比較してみました。
今回は、コスト面に焦点をあて、事例とともにご紹介していきます。
前回も触れましたが、
外断熱工法は内断熱と比較して、
建築コストが1〜2割高くなると言われています。
この理由は、施工方法と資材費に由来します。
最も大きいのは、外装材や窓枠など開口部(サッシ)の費用とされています。
外側に施す断熱材の最終仕上げの部分(外装)で
内断熱工法よりも外装費や施工費が割高になるのです。
しかし、これはデメリットとばかりは言えません。
その理由は次のとおりです。
ランニングコスト(冷暖房費)の削減により、イニシャルコスト(建築費)が割高であっても中長期的に回収することができます
建造物の耐用年数が長いため、イニシャルコスト回収後の建替え費用が発生せず、内断熱工法と比較して高い資産価値を期待できます
イニシャルコストに見合う高い居住性能が得られます
RC造が主である分譲マンション業界の状況を見ますと、
外断熱工法の建築コスト高は販売価格の割高感につながるため、
販売に苦労するとの考えが、まだ一般的です。
これが、大手企業が外断熱工法を回避する理由になっています。
外断熱マンションを手がけるのは、意欲的な中堅企業が主流です。
ですが、マンション購入者という立場から見ると、
外断熱マンション供給企業の姿勢も
付随的なメリットととらえることができるのです。
外断熱マンション供給企業は
販売価格の割高感を払拭するための努力として、
原価公開によって
建物や土地の取得にかかる費用、坪単価などを公表したり、
建設現場の見学に力を入れるなど、
これまで不透明だったマンション業界の供給体制や価格構成が
消費者の目に触れる仕組みをつくっています。
この裏には、外断熱マンションの普及が
企業の社会的責任を果たす取り組みであるという高い志があります。
このような取り組みが、マンション業界全体を
これまでより信頼のおけるものに変えていく推進力となるかもしれません。
消費者である私たちは、
不信頼に対して後から払うコストの高さに辟易していますよね。
外断熱マンションの建設コストは、
信頼に対して前もって払うコストと
言い換えることができるのではないでしょうか。
そして、次の事例から、それは決して高いものではないとも言えるのです。
「桜ハウス玉川」(長野県茅野市)は、
外断熱の無暖房工法による日本初の介護サービス施設です(注:医院開業紹介センターとは無関係)。
2006年のオープン以来、
外気と室内湿温度の実測、コスト試算などのデータが蓄積されています。
それによると、
最寒日の外気温が−15度でも室温は約20度
暑さの厳しい真夏でも、一日全館室温を27℃以下にして、
冷房に要した費用は、月1万数千円ということです。
建築コストを見ますと、
無暖房工法という特に断熱基準の高い工法を採用していることもあり、
内断熱の場合と比較し、1500万円アップとなりました。
(主な要因は、外断熱工法施工、高気密高断熱サッシ、熱交換機)
しかし、上記のように冷暖房費が削減できるため、
年間250万円コスト減できている試算となっています。
つまり、6年(=1500万÷250万)での減価償却が可能という計算です。
6年の減価償却後は、耐用年数も長いため、
利益が積み上がることとなります。
また、居住面においても、
冬、夏を通して安定した快適さを実感できるだけでなく、
施設内に温度勾配がないため、
においがたまりにくいことも報告されています。
クリニック開業にあたり、
非常に参考になる事例ではないでしょうか。
[介護サービス施設「桜ハウス多摩川」:概要]
・R C造 2階建
・オール電化仕様
・延床面積: 約7 7 0 ㎡ (約2 3 0 坪)
・定員:デイサービス25名、ショートステイ定員20名
さて、次回は、
さらに事例を取り上げ、コスト、居住性能について
掘り下げていきたいと思います。
投稿者 医院開業紹介センター :2008年8月27日